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2019.04.03インドネシア視察~インフラ大国へ~

3月27日~31日に昨年10月に続き、インドネシア第二の都市・スラバヤへ視察に行ってまいりました。

3月24日に首都ジャカルタで、日本が全面的に支援している
インドネシア初の地下鉄を含む都市高速鉄道(MRT)の開業式典が開かれました。
インドネシアでは急速に経済が発達しており、2010年代からの国内消費が伸び、
車やバイクを購入する人が増えたことにより、交通渋滞に悩まされています。
この交通渋滞を解消するために進められているのが、
設備から運行システムまでの全てを日本企業が受注したジャカルタ都市高速鉄道(JMRT)の建設です。
ジャカルタ中心部と南部を結ぶ15.7㎞が完成しており、中心部の約6㎞は幹線道路の地下、残りは高架を走行します。
第二期の延伸工事も始まっており、渋滞緩和のきっかけになるとの期待が高まっています。
日本は国際協力機関(JICA)等を通じ様々な支援を行い、公共交通機関の整備にも協力しています。
土木工事や信号等のシステム、車両の導入等に日本企業が参画し、
鉄道の安全な運行、運転士・車掌の育成、エキナカビジネスに関する研修も実施しているようです。
東南アジアで初めてのオールジャパンのインフラ輸出、地下鉄の開通です。
インドネシアの経済成長率は過去10年間のほとんどの期間で5%以上となっており、堅調な経済成長を続けています。
インフラ開発は交通・通信・エネルギー等を発達させ、
人々の暮らしをより便利で豊かにしていることから、経済成長の原動力になっています。
空路の拡充が進み、多くの人が遠方の島々と都市の間を移動できるようになり、航空機の乗客数も増加しています。

それでも国の大部分のインフラは未だに開発中であり、群島間の輸送を含む包括的なインフラの必要性や災害強靭性等
様々な問題点を改善しながら、今後も効率的なインフラ整備が求められます。

インドネシアは日本と同じく島国国家で、その島ごとに固有の民族・固有の言語があり、多様性に満ちた国と言われています。
豊かな自然や島ごとに魅力があり、バリ島をはじめとした人気の観光地がたくさんあるため、
日本人にとって馴染みのある国です。

水害・災害の多さが日本と共通しているところがあり、
これまで日本の協力により島と島を結ぶ橋梁、空港、砂防ダム等が整備されています。
地震や火山噴火、その他の自然災害が発生しやすいことをふまえ、
気候変動に対する耐性が高く持続可能なインフラが必要とされています。

インドネシアでは2019年4月17日に、大統領選と総選挙が同時開催されます。
大統領選には現大統領のジョコ・ウィドド氏と、野党第一党のグリンドラ党のプラボウォ氏の2人が出馬し、
2014年の前回選挙と同じ一騎打ちの構図となっており注目を集めています。
インドネシアではスカルノ政権期より、燃料価格の急激な上昇から国民を守るために、
燃料供給をする石油会社プルタミナ社に対して補助金を付与し、
一部燃料(補助金付き燃料)の小売価格を低く抑える政策がとられてきました。

この石油燃料補助金が原油価格の上昇やルピアの下落に伴い財政の圧迫を招き、
必要としているインフラ投資への予算が限られ、過度な燃料消費にもつながることが問題視されてきました。
そこでジョコ大統領は、2014年10月の就任直後の同11月に、補助金付き燃料(プレミアム、ディーゼル)の
小売価格を約30%引き上げることを決定し、補助金制度を事実上廃止しました。
削減された予算をインフラ整備等に充て、インフラ予算は2014年に177兆ルピア(約1兆3900億円)だったものが、
2017年には401兆ルピアと倍増しています。
インドネシアはそのインフラ政策によって道路・鉄道・港湾等の整備が進み、経済に厚みが増しています。
今回も昨年に続きスラバヤの石油、ガスのタンクターミナル建設現場へと足を運びました。

5ヵ月ほどで埋め立ての更地にタンクの姿が確認できるようになっています。
大型船舶がエネルギーを持ち運びする数キロメートル先の船着き場へ向けての埋め立ても急ピッチで行われています。

インドネシアは日本にとって重要なエネルギー供給国となっています。
液化天然ガスと石炭は日本が各国から輸入する全体の2割弱という高い割合を占めています。
石油の輸入量は全体の2%とそれほど多くありませんが、インドネシア海域は中東諸国や豪州などから
日本へ運ばれる天然資源の輸送ルートであり、日本に中東諸国から輸入される石油は全体の9割を占めていますが、
その多くがマラッカ海峡を通過しています。
インドネシア海域は日本のエネルギー確保にとって生命線となっています。

インドネシア経済は堅調に成長し続けており、豊かさが増し都市化も進んでいます。
人口2億6000万人の約半数が30歳以下という若者が多い国であるため、
若い労働力を活かし、質の高い雇用の創出が期待できます。
若い世代はテクノロジーに精通しており、起業意欲が高く、今後さらに長期的な経済成長が期待できます。